コラム

中国茶入門 福茶で楽しいお茶LIFE

昨年の5月からWEB検索ワードが急上昇している中国茶。おうち時間をいかにリラックスして過ごすか?そして『美と健康』に着目されています。

そんな中国茶を少し学んでみませんか?

医食同源の国のお茶『中国茶』

中国茶=烏龍茶のイメージが強い日本!

茶色い飲みもので、脂肪を落としてくれる、コンビニで手軽に買えて安い物だと2リットル120円でも買える飲みもの。

烏龍茶の種類は1種類だけではないのご存知ですか?烏龍茶の種類は800種類以上とも言われています。

自分だけの中国茶ランキングや飲んだ中国茶の種類をメモするのも楽しいですよ。

今回は、最後までお読みいただけたら『中国茶とは?』の知識が広がり人生が楽しくなりますよ!

烏龍茶だけではない中国茶の世界を分かりやすくお伝えいたします。

Contents

『そもそも中国茶ってどんなお茶?』

この質問に答えられる人は、意外と少ないかもしれません。

原料、産地、製造方法、味わいなど本編に入る前に簡単にご紹介いたします!

■品種

原料は日本茶と同じすべての茶類のルーツ

全ての原料は同じ茶樹の葉。

カメリア・シネンシスというツバキ科の植物で、実は日本茶も紅茶も同じ茶樹の葉を原料としています。それぞれのお茶の違いは、製造方法によるもの。茶の葉は、様々な工程を経て多種多様な茶葉えと姿を変えます。

■製造方法

種類によっては発酵度が異なる個性豊かな6大茶類

中国茶は、製造工程での発酵度の違いで、緑茶・白茶・黄茶・青茶・黒茶・紅茶の6つに分けられています。茶葉自体が持つ酸化酵素の動きによって、茶葉の質が変化することを発酵といい、緑茶は茶葉を摘んですぐに火を入れて発酵を止めるため「不発酵茶」、逆に完全に発酵させる紅茶は「全発酵茶」と言います。他に、発酵を促す工程などで白茶、黄茶、青茶に区分され、黒茶は緑茶を発酵させて作る「後発酵茶」であります。

■産地

長江を中心とする4つのエリアが主要産地

広大な国土を誇る中国では、広範囲に渡り茶の栽培が行われているが、主な産地は長江(揚子江)を中心とした南部地域に集中している。このエリアはさらに、4つの地域に区分することができる。各地域では気候や地形、土壌などが異なるため、それぞれの地域特性を反映した個性豊かな銘茶が生み出されている。このエリアの茶葉生産量は、世界全体の4割を占める。

【華南茶区】

中国最南端の茶区で、温暖な気候と肥沃な土壌で、様々なタイプのお茶が作られているのが特徴。特に青茶、白茶、花茶が有名

【西南茶区】

茶樹の発祥の地でもあり、亜熱帯モンスーン気候に属し、茶の栽培にとっては絶好の環境が整っている。主に緑茶、紅茶、黒茶を栽培

【江南茶区】

日本と同じく、季節がはっきりしており、茶の生産にも向いている気候。そのため年間生産量も他茶区よりも多い。緑茶、黄茶、紅茶を生産

【江北茶区】

中国最北の茶区。地形が複雑で丘陵地帯が分布し、土壌は酸性、昼夜の寒暖差が大きく良い茶が育つ条件が揃う。主に緑茶を栽培

■味わい

香りや味わいの多彩さが魅力で幅広い楽しみ方が無限

広範囲に渡る栽培地域と、独特の製法で作り出される様々な茶葉。これだけでも中国茶は十分に奥が深いことが理解できますよね。さらに味や香りを楽しむことでその魅力が無限に広がっていきます。特にかおりは、中国茶を楽しむ上で欠かせない要素。「聞香杯」という香りを楽しむためだけの茶器があるほど、中国茶には香りを重視する文化があります。もちろん味わいの違いも多岐に渡り、味わうほどに新しい美味しさに出会います。

『中国茶入門7つのトピックス』

①中国茶の簡単な歴史年表

②中国茶の魅力『美と健康』

③お茶と食事の関係

④中国茶の種類

⑤中国茶器の説明

⑥中国茶の淹れ方

⑦お茶の保存法

①中国茶の簡単な歴史年表

中国は、中国茶だけでなく日本茶や紅茶のもとになる茶樹の原産地です。

つまり中国茶の歴史はすべてのお茶の歴史でもあるのです。

上流社会の嗜好品として愛され、貿易も盛んになりました。

それでは中国茶の歴史を振り返ってみましょう。

■古代

人間と茶樹の出会いは、古代に神農※1がお茶の葉の解読作用を発見し薬として用いたとされています。

神農の話しは、色々な書物を読むと紀元前2700年とも3400年とも書かれています。

■漢の時代

お茶が嗜好品として日常的に飲まれ始めます。

■晋の時代

時の皇帝にお茶を献上する「貢茶」※2というしきたりがありました。

■唐の時代

陸羽※3がお茶の起源、製茶の方法、飲用道具などを、お茶のバイブルと言われる『茶経』※3にまとめ貴重な資料となる。

この頃、中国を訪れた最澄※4遺唐使が、日本にお茶を持ち帰る。

■明の時代

ヨーロッパで紅茶の文化が花開く。

中国は茶葉の輸出を開始する。

■清の時代

アヘン戦争が勃発。

中国茶貿易の実験をイギリスやドイツが握り、紅茶以外の中国茶の生産は下火になる。

■中国人民共和国設立後

1966年から1976年に、毛沢東による文化大改革命で、お茶の栽培が制限される。その一方で台湾でのお茶の栽培が盛んになる。

※1 神農(しんのう)、炎帝神農(えんていしんのう)は、古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人。人々に医療と農耕の術を教えたという。神農大帝と尊称されていて、医薬と農業を司る神とされている。薬王大帝(やくおうたいてい)、五穀仙帝(ごこくせんてい)とも。(Wikipediaより引用)https://ja.m.wikipedia.org/wiki/神農

※2 貢茶と調べると「一を聞いて二を知ったという孔子の弟子、子貢の名にちなむという」茶の湯で、茶の味を当てる一種の遊びとも出てきます。

※3 陸 羽(りく う、733年 – 804年)は、中国の唐代の文筆家。茶の知識をまとめた『茶経』3巻などを著述した。またの名を疾、字(あざな)は鴻漸(こうぜん)、季疵、号は桑苧翁と称した(他からは竟陵子と呼ばれた)。他の著作に『毀茶論』、『君臣契』、『源解』、『陸文学自伝』(『茶経』以外は散逸)がある。(Wikipediaより引用)https://ja.m.wikipedia.org/wiki/陸羽

※4 最澄(さいちょう)は、平安時代の僧(766/767年 – 822年)[2][3]。日本の天台宗の開祖であり、伝教大師として広く知られる[4]。近江国(現在の滋賀県)滋賀郡古市郷(現在の大津市)もしくは生源寺(現在の大津市坂本)の地に生れ、俗名は三津首広野(みつのおびとひろの)。生年に関しては天平神護2年(766年)説も存在する。中国に渡って仏教を学び、帰国後、比叡山延暦寺を建てて天台宗の開祖となった[5]。(Wikipediaより引用)https://ja.m.wikipedia.org/wiki/最澄

■中国茶 お茶のルーツと食用から飲用へ

漢方薬の始祖として祀られる伝説の神・神農が草木の薬効を調べていたところ、お茶の葉に解毒作用があることを発見したと記されています。

漢の時代に至るまで、お茶は飲むものではなく薬として端を食していたようです。この頃の産地は雲南省をはじめ、貴州省、戦勝等とされており、この地域の茶樹が世界のお茶のルーツと言われています。

漢の時代になってから、食用から飲用へ変化し、晋の時代には、安徽省(あんきしょう)ではじめて、皇帝に最高級のお茶を献上する「貢献」があったと記録されています。

■上流社会の嗜好品から一般社会へ

南北朝時代に入ると、お茶の産地は各地へと広がり、上流社会の嗜好品として楽しまれるようになりました。

隋・唐の時代には一般社会に喫茶の腐臭も芽生え、各地に茶館が出現します。新茶の季節にお茶を飲み分けて勝負を競う「闘茶」なる事も誕生。

お茶の製造技術が発展した宋の時代には、お茶付の間の楽しみとして定着していきました。

■中国茶で戦争?

明の時代になると、お茶と馬を交換できる「茶馬貿易」が盛んになり、お茶が国防の面でも欠かせなくなります。1600年代にはイギリスを中心にヨーロッパで紅茶文化が花開き、茶葉の輸出が始まります。ところが中国からの茶葉の輸入量が増える一方で、銀(当時国際間の支払いは銀で行われていた)がそこをつけ始めたイギリスは、中国からぎんを引き出すために、インドのアヘンを中国へ売りつけます。すると、中国の銀河流出し財政が窮乏、アヘンによって風紀が乱れ社会が混乱状態に。1839年、中国がアヘンの輸入を禁止したことをきっかけにアヘン戦争が勃発します。北京条約によってイギリスやドイツが中国貿易の実権を握りました。

■中国での中国茶の復活

中国でのお茶の生産が再び活発になったのは、中華人民共和国の設立後。

1966年から1976年に行われた故・毛沢東主席の文化大改革により、お茶は贅沢品として栽培が制限され、一旦は生産が落ち込みますが、その一方で台湾でのお茶の栽培が飲み始めます。この頃お茶を飲む独特の作法「茶芸」もう発展し、再び、中国茶が日の目を見るようになりました。

中国茶ブームの影響で、日本での中国茶の種類も非常に多くなり、たくさんの方が中国茶を楽しまれています。

②中国茶の魅力『美と健康』

中国茶は、世界に広がったお茶の原点です。中国から広がったお茶が日本茶を、そして英国紅茶を生み出しました。

それでは中国茶の魅力を探っていきましょう。

中国茶の魅力は、非常に茶葉の種類が多いこと。その数は5000種類ともそれ以上とも言われています。そして中国茶は、それぞれの特徴を持っていて、その中のいくつかの特徴を知るだけでも十分に中国茶の奥深さを感じることができます。

■味わいの違い

上品で後味が甘味のある味わいのお茶もあれば、土を感じる重く濃厚に感じるお茶もあります。

なぜ同じお茶の木からできている飲み物なのに、全く味が違うのかと驚き感じるほどです。

■香り

中国茶が日本茶と大きく違うのは、香りもじっくりと味わうという点です。

お茶を飲む前に香りを楽しむだけの茶器『聞香杯』(もんこうはい)もあるほどです。

花のような香りやフルーツのような香り、バニラを思わせる香りもあります。

■茶器の魅力

中国茶は、品茶(お茶を味わう)だけが楽しみではありません。

中国茶を淹れるためだけの優れた茶器も魅力のひとつです。

急須を小さくしたような茶壺(ちゃふー)きれいな絵柄に彩られた蓋碗(がいわん)や茶杯(ちゃはい)中国茶の茶器は集めるだけでも楽しくなります。

特に茶壺は『育てる』楽しみがあります。

何年の使い込むとツヤが増してお茶の染み込んだ香りがふと匂い立つようになった茶壺は、大切な宝物でもあり、その人の人生の相棒のような存在だと思います。

■茶文化の様式美

日本の茶道と同じように中国茶にも作法があり『茶藝』(ちゃげい)といいます。

工夫式(こんふうしき)の、淹れ方に手法や工夫が盛り込まれて発展した茶藝には、茶道と同じようにいろいろな流派があり、こだわるところもそれぞれです。茶藝の手法でお茶を淹れてもらうと、改まった気持ちになります。

中国茶の喫茶文化やそれを取り巻く歴史等を知ると4000年と言う時の中で起こった多くの出来事は、人々の生活に浸透していたお茶と密接な深い関係があるのです。

今では、私たちも手軽に楽しめる時代となり『美と健康』の中国茶の魅力を、皆様に感じていただきたいです。

③お茶と食事の関係

中国では医食同源の思想、つまり毎日の食生活が健康に通じると言う現代の予防医学に近い考えが根付いています。

それは飲み物に対しても同じです。

多くの中国人の方が、水よりもお茶を飲む方が多いのは、様々な成分や作用を体に取り込めて健康に良いと言う考えだからです。

中国には昔から「陰陽論」と言う考え方があります。陰性と陽性は常にバランスを取り合っていると考えるのです。「陰性」はエネルギーが体の中心から外へ逃げることを意味し、「冷たくなる」といった性質に対して「陽性」はエネルギーが外から中心に向かうことを意味しています。エネルギーが集中するので熱が生まれ「温かくなる」と言う性質を持っています。

肉を多く食した次の日は、緑茶を飲むと良いと言われています。それは体に残っている余分な肉の火気生緑茶の「寒性・冷性」で取り除くことができるから、確かに温かい緑茶を飲むと体のほてりなどが取れてスッキリするのがわかります。

麻婆豆腐など辛い料理が多くて有名な四川料理などは、菊花茶が出される事が多くあります。

つまり菊花茶の持っている性質、体にこもった余分な熱を取り去る作用をうまく利用して、体の陰陽のバランスを整えようと言うことなのです。

多くの中国の方は、水ではなく白湯を飲む方が多いのですが、体を冷やすのにも冷たい飲み物を摂取するのではなく、温かいお茶を飲み体を冷やすということをしているのだと流石は医食同源の国なのだと感心致しました。

もちろん、お茶は体を冷やすだけではありません。ナスなど体を冷やすものを食べた後には、武夷岩茶(ぶいがんちゃ)や中国紅茶などを飲みます。お茶で体を温めるのです。武夷岩茶や中国紅茶のほか、普洱茶(プーアルチャ)もう体を温める「温性」に属するお茶であると言われています。これらは長年の知恵が作り上げてきた1種の食べ合わせと考えて良いかもしれません。冷温、つまり陰陽のバランスをとることがとにかく大切なのです。このバランスが崩れると病気になると東洋医学では考えます。

中国の人々がいつも中国茶を手にしていたのには、そんな理由もあったのです。

④中国茶の種類

■六つの分類『緑茶・白茶・黄茶・青茶・黒茶・紅茶』

お茶はどのようにして生まれてきたのでしょう。中国の神話では東洋医学の始祖といわれる神農が日に72種類の薬草を口にして効能を調べ、1日の終わりにその得を消すためにお茶を用いたのがその始まりとされていると書いてある本もあります。

中国茶の種類は、製法等の違いによって大きく6種類に分けられます。

不発酵茶の「緑茶」、半発酵茶の「白茶」「黄茶」「青茶」、後発酵茶の「黒茶」、完全不発酵茶の「紅茶」ひと言で”中国茶といっても、その味と香りは様々です。

製法の違いがお茶の特質を決め、発酵度の強弱が持ち味を大きく左右します。その数は星の数ほどあり、複雑に見える中国茶ですが、六分類を手がかりに飲み比べてみるとそれぞれのお茶の特徴が簡単に理解できます。

■六つの分類代表的な中国茶

「緑茶」は、葉を発酵させないため、摘みたての葉の清々しい香りが生きています。お茶の故郷の中国でも緑茶が主流。味を重視する日本茶に対し、主に釜でいる製法を用いて青いフレッシュな香りを引き出しています。緑茶は鮮度が命です。中国には春・夏・秋と年3回茶摘みがありますが、その中でも春摘みの緑茶はとりわけ香り高くビタミンC、カフェインもたっぷり、朝の目覚めにうってつけです。できるだけ新しいものを買い、キャニスター(缶)に入れて冷暗所に保存、1年以内に飲み切りましょう。

『代表的な緑茶』

西湖龍井茶(せいころんじんちゃ)

発酵度0% 主産地 浙江省

日本で言う”静岡茶”中国で最もポピュラーなお茶です。龍井茶は、その昔、清代の皇帝に献上されていたお茶。高温に熱した釜の中で、手の技を巧みに使って作られるお茶は、色・香り・味・形が絶品で、『四絶)といわれています。

なかでも獅峰龍井茶(しほうろんじんちゃ)は最高級とされています。

明前、雨前と名がつく龍井茶は、ごく限られた時季の少量しか採れないシーズンティー。こうした龍井茶は、小さな茶壺でしっかり出して少しずつ味わってください。そのまろやかなコクとほとばしる香りがきっと素晴らしい1日を約束してくれます。

朝の目覚めに龍井茶

陽が柔らかな春の目覚めは龍井茶をセレクト。扁平な緑色の茶葉を茶壺(150ccの湯量に対して3g)に入れて、沸騰させてから少し冷ました湯(75℃〜85℃)を注ぎ4分待つ。芳賀開いて清々しい若葉の香りが立ち込めたら飲み頃です。

福茶Point

前日の疲れ・二日酔い・頭のぼんやりを吹き飛ばしてくれます

『代表的な白茶』

茶葉が持つ優雅な資質を、自然の力を借りて引き出しているのがこのタイプのお茶です。芽が大きく育つ特殊な茶樹の新芽や鮮芽を陽にさらし、葉脈が少し紅く色づいたら、不炒不揉、炒ったり揉んだりしないで作ります。水色淡く橙黄色で、味はかすかに甘く刺激なく「蘭の花」のような軽い発酵香に特徴があります。春摘みの、新鮮なものほど香りが良いのは緑茶と同じです。脳、細胞、内臓の緊張をとくともいわれる白茶は、仕事の合間のティーブレイクに最適。遅くとも1〜2年のうちに飲みきりましょう。

白牡丹茶(はくぼたんちゃ)

発酵度 10%前後弱発酵 主産地 福建省

白牡丹は、新芽と葉をブレンドしたお茶です。

淡く優しい甘みで飲みやすく、食事にも合わせやすいため香港では大人気のお茶です。

白牡丹は、別名「三白」と呼ばれるのは、白毫銀針(白茶)同じ品種の福鼎大白茶、政和大白茶の芽と葉をベースにし、そこに青茶で有名な「水仙」の葉の三つがブレンドされているから、暗緑の葉の中の白い芽が花のような形に例えられ、「白牡丹」と命名されたのだとか。

日光萎凋※5した後に室内萎凋、熱風萎凋し最後に焙煎する方法で作られています。

清新な香りと柔らかい風味で、飲みやすいお茶です。夏向けのお茶としてもお勧めします。

※5 萎凋(いちょう)とは茶葉をしおれさせ、酸化発酵を促します。烏龍茶の花や果実に例えられる『あの香り』の決め手となる作業なので、メチャメチャ重要であり、難しい作業です。

この萎凋には、外で作業する「日光萎凋」と、部屋の中で作業する「室内萎凋」「熱風萎凋」があります。

疲れを癒す白牡丹

千年の昔、岩肌に野生した白く輝く葉を持つ特殊な端の樹は皇帝専用のものでした。冷たい山の空気のなか、顔をのぞかせた新芽は霧から身を守るためにキラキラと光る白毛をまとっています。

銀の針を思わせるこの芽か若葉に育つのを待ち、上についた新しい芽とともに摘んでで作られるのが「白牡丹茶」です。

ガラスのポットに白毛混じりの茶葉3グラムを入れ、沸騰湯でさっと洗い流した後に沸騰湯150ccを注ぎ、茶葉が3回浮いて3回沈んで動きが止まったら飲み頃です。ストレスを緩めるとされるこのお茶、穏やかな滋味に、1日の疲れがゆっくりほぐされて行きます。

また、女性に喜ばしい内容が沢山の白牡丹茶

男性の方にも是非飲んで欲しいお茶です

白牡丹の効果

・動脈硬化の予防

・アンチエイジング(新陳代謝向上)

・糖尿病予防や治療効果

・疲労回復(夏バテ)

・口臭予防

・胃弱

・利尿作用(むくみに良い)

福茶Point

初対面の人・込み入った話・行き詰まった思考の緊張をときます。

『代表的な黄茶』

緑茶に似たふくよかで上品な味わいの黄茶は、「悶黄」というこのお茶独自の工程でわずかに後発酵させた「弱後発酵茶」です。

水色が黄色みがかっていることから黄茶と呼ばれています。

発酵度は低く、どちらかというと緑茶に似た上品な味わいが特徴です。味わうだけでなく「見て楽しむお茶」でもあり、昔の皇帝や文化人たちも茶葉が上下にゆらゆらとゆれるさまを眺めていたといいます。生産者が少なく、大変貴重なお茶なので、手に入ったらガラスの器にいれ、好きな音楽を聴きながら、ゆったりと茶葉のゆらぎや味わいを楽しんでいただきたいです。

君山銀針茶 (くんざんぎんしん)

発酵度 ー 主産地 湖南省

黄茶の代表的なお茶で、ほのかな燻焙香とフルーティーな甘い香りや蜜の香りが特徴。生産量は、年間40kgという貴重品で、なかなか本物に出会えない幻のお茶です。

世界的に「金に玉を嵌めた」と美しい名前で呼ばれ、中国の最高値を記録したことも。透明な茶器を使って95℃のお湯でグラスに淹れるとその茶葉がゆらゆらと動き、美しい舞を見せてくれます。菊の花が咲いたようだとも言われます。

静の時代には乾隆帝の献上茶だった、歴史の古いお茶です。湖南省同庭湖に浮かぶ小さな島・君山島で、新芽のみを摘み、3日間手間暇掛けて仕上げます。

福茶Point

味も香りも酔い心地までが個性的、余裕のある時にじっくりといただきたいお茶です。

『代表的な青茶』

日本で最も有名な中国茶の烏龍茶は、この青茶に属します。ある程度、発酵を進ませてから、それを途中で止めてしまうため、半発酵茶と呼ばれています。「半」とはいうものの、発酵度が50%というわけではありません。発酵の度合いは15%〜70%と幅が広く、種類も豊富。それ故に味や香りは緑茶に近いものから紅茶のようなものまでバラエティに富んでいます。青茶は「香りを聞く」といわれるほど、香り高いのが魅力です。それを十分に堪能するために編み出された茶道具や茶器も多くあります。

意外にも青茶の歴史は新しく、製造されるようになったのは、清の時代(17世紀〜20世紀)これまでにない香り高いお茶の登場に多くの人が愛好し、ウーロン茶の生産量は大幅にアップしました。この頃より中国六大茶の分類がされるようになりました。

代表的な青茶は、大紅袍(ダイコウホウ)・安渓鉄観音(アンケイテッカンノン)・黄金桂(オウゴンケイ)・毛蟹(モウカイ)・色種(シキシュ)・本山(ホンザン)・雪芽奇蘭(セツガキラン)などがあります。

今回は、青茶の中で特に知っておいていただきたい「安渓鉄観音」と「大紅袍」をご紹介致します。

安渓鉄観音 (アンケイテッカンノン)

発酵度20%〜80% 主産地 福建省

福建省安渓県西坪郷を中心として栽培されるお茶で、鉄観音の中でも最高級品とされています。名前の由来はいろいろな説がありますが、中には「鉄のように重く、光沢のある黒みがかかっていて香りの高い、観音様のような恵の茶」というところから来ていると言う説もあります。茶葉はよじれてしっかり引き締まり、黒っぽく、油を塗ったように光沢があるものが良品。柑橘系の「音韻」(中国茶用語で、広がりのある甘み)をもっています。

安渓鉄観音のには、清香と濃香があります。

清香安渓鉄観音は、生産高トップの烏龍茶で、芳醇で適度な渋みがあり、光や花のような特有の香りが特徴です。清香系のお茶ながら、嫌な青っぼさはなく、安渓らしい爽やかさを存分に味わえます。

濃香安渓鉄観音も、芳醇で適度な渋みがあり、蜜や果物のような特有の香りが特徴です。良質の茶葉、伝統に則った製法で丁寧に作られた最高ランクの茶葉は、一芽ニ菜がほぼ全面に開いた熟成した原料を使い、しっかり発酵させ、火入れはやや強めに行う。杏のようなフルーティーが顕著(けんちょ)な味わいと、乳花香と呼ばれる濃厚な花のような香りが長く続き吐息も甘く感じます。

これを「音韻」といいます。

水色は、彩度の高い明るい橙色です。

食事中や食後に飲むのも非常に良いでしょう。

大紅袍(ダイコウホウ) 主産地 福建省

中国茶好きならいちどは飲んでみたい幻の岩茶

約300種類ある武夷岩茶の中でも王様と呼ばれる銘茶。樹齢400年の原木はたったの4本しかないため、その茶葉は一般の市場には出回らない、まさに幻のお茶です。現在は原木から接木した茶木から撮られたお茶が流通しています。

独特の甘さと程良い渋み。喉元に漂う深い岩韻は王者の風格です。

若葉の色が紫紅色が、まるで中国の古代役人の赤い官服のようだと、この名がつけられました。武夷山の母樹の大紅袍20gの落札価格は、20.8万人民元(約300万円/2005年4月時)だったそうです。金額からも、歴史的なこの銘茶の価値の高さが伺えます。

美味しい飲み方として、湯温度は90℃〜95℃、抽出時間は1分

福茶Point

青茶の種類は沢山あるので自分に合った味を探求して楽しんで下さい。

『代表的な黒茶』

緑茶を発酵させ、蒸して固めた古典的な後発酵茶が黒茶です。茶葉を麹黴(こうじかび)の働きによって発行させているので、独特の風味を持ち、飲む時も洗茶※6してからいただくのが決まり。

洗茶することで茶のちりやほこり、匂いなどを洗い流し、茶葉を開かせやすくするのです。

産地は雲南省が中心で、固形のタイプとそれを解したタイプ(散茶)とがあります。ちなみに黒茶を淹れるときは、黒茶の香りがその茶壺(ちゃふー)に移ってしまうので、できれば専用の茶壺を用意するか、蓋碗で入れるようにしましょう。

普洱茶(プーアルチャ)

主産地 雲南省

黒茶の代表的な名称である普洱は、古くからの緑茶の集積地として有名な場所。今では渥堆(あくつい)※7の工程で麹黴をつけた「熟茶」と呼ばれるお茶が多く出回っていますが、茶葉を干した緑茶を寝かせ、麹黴が自然に付着してできたのが始まり。散茶は普洱の茶葉をバラバラにした状態のものをいいます。

普通の茶葉の状態の「散茶」と発酵前に方などに入れて固めた「固形茶」があります。ワインのように何年も寝かせることで、特有の熟成した味わいに仕上がります。古いものほど高級とされ、15年もの、30年ものと、熟成が進めば進むほどヴィンテージとしての価値が高くなります。脂肪分解力が高く、ダイエット効果が期待できるお茶としても有名。脂っこい料理のお供として、熟成された奥深い香りと味が楽しめます。

美味しい飲み方として、湯温度は95℃〜100℃、洗茶をして下さい。抽出時間は1分程度。

※6 洗茶(せんちゃ)とは、ほこりを取り除く、長期間発酵させた黒茶はほこりが付きやすいので洗茶する。特有のカビ臭さも薄れ飲みやすくなることも。茶葉の目覚まし、一度洗茶することで茶葉が開きやすくなる。茶葉が早く開くと抽出の際に渋みがでにくいという効果もあります。

高温で淹れたほうがおいしい普洱茶は、洗茶によって温まった茶葉にお湯を注ぐことで、より高温で抽出が可能になり美味しくなります。

※7 渥堆(あくたい)とは、水分を含ませた茶葉わ積み上げて菌の力で発酵させること

福茶Point

中華料理だけでなく、イタリアンやフレンチとマリアージュしてみてください。

『代表的な紅茶』

世界の紅茶の歴史は中国茶から始まる

茶葉の物酸化酵素の働きによって、十分に発酵させた完全発酵の紅茶。文字通り、紅い水色、紅い茶殻が特徴です。紅茶と言えば、インドやスリランカ産が有名であり、種類豊富な中国茶の中では、中国紅茶の存在は影に隠れてしまいがちです。しかし、実は紅茶の起源中国なのです。

17世紀初頭ごろにヨーロッパに伝わると、多くの人たちに愛飲されるようになりました。今では世界で生産されているお茶の7割が紅茶だという。

中国紅茶は、インドやスリランカ産に比べて、タンニンが少なく、渋みをあまり感じません。

また、英国の紅茶のように、ミルクや砂糖を加えたり、茶葉をブレンドさせたりせず、そのままストレートで飲むのが基本です。

祁門紅茶(キーマンコウチャ)

発酵度100% 主産地 安徽省

東洋随一の芳香を持つ世界3大紅茶の一つ

インドのダージリン、スリランカのウバと並ぶ世界三大紅茶の一つ。中国紅茶の中でさも世界的に知られる紅茶で、英国王室では毎年女王の誕生日にこの紅茶で長寿を祝う習慣がある。「祁門香」と呼ばれる蘭の花に似た清らかな香りが特続し、その芳香は東洋随一と言われています。

タンニンが少ないため、苦味がほとんどない芳醇な味わい。一杯目はミルクや砂糖を入れず、ストレートで味わうのがお勧めです。冷めてもまろやかな味わいが楽しめます。

1915年のパナマ万博で金賞を受け、世界の銘茶として名を成したこのお茶も、もとは中国茶の一地方茶です。現地の人たちのように軽く入れてカジュアルに飲むのが1番。ブレンドティーにはない生(き)のままの良さを味わいます。

日本では、祁門の呼び方が「キーマン」「キーモン」「キームン」と、それぞれだったりしますが、一般的なのは「キーマン」と書いてある本が多いです。

福茶Point

素直でシンプルだからこそ飽きない味わい。洋菓子以外とも相性の良いお茶です。

⑤中国茶器の説明

基本の茶器

もっと中国茶を楽しむために、中国茶の基本の道具を知っておきましょう。

それぞれの名前や使い方をご紹介いたします。

中国茶を楽しむには、やはり中国茶器をお勧めいたします。中国茶器は、より美味しく、より楽しく中国茶を味わうことができるよう、変遷(へんせん)※8を重ねてきました。

■茶壺(チャフー)

茶壺は、日本でいう急須です。

茶葉を蒸し、味や香りをしっかりと引き出すために使います。

■蓋碗(ガイワン)

お茶を飲むために使われるのはもちろん、茶壺の代わりに蓋碗でお茶を入れることも多くあります。

■茶杯(チャーペイ)

お茶を頂く湯飲みとなります。杯の内側はお茶の水色がわかりやすい白い色が多いです。

ここまでがスターターセットとなります。

初心者の方でもこの3点を揃えておくと良いでしょう。

■茶通(チャアトン)・茶杓(チャアビァオ)

茶壺の注ぎ口に詰まった茶葉を取り除いたり、茶壺の中の茶葉をひっくり返したりするときに使います。

■茶則(チャアズ)

茶罐(ちゃかん)から茶壺に茶葉を入れるもの。

■茶挟(チャアシエ)

かさのある茶葉を茶壺に入れたり、熱い茶杯を持ったりするためのものです。

■茶漏(チャアロウ)

茶壺の口にのせ、茶葉を入れやすくします。

茶通・茶杓、茶則、茶挟、茶漏は、お茶を淹れる便利グッズですね!

■聞香杯(ウンシャンペイ)

お茶の香りを楽しむ杯

■品茗杯(ピンミンペイ)

聞香杯から茶を移し、味を楽しむ杯

日本のお猪口(おちょこ)のような小さい形の杯が多い。

■茶海(チャアハイ)

淹れたお茶の濃さを均一にするための道具。

茶海に、茶壺や蓋碗からお茶を移し、それを茶杯や聞香杯に注いでいくのです。

人が多く集まる時などには茶の味を均一にするのに特に便利です。

■茶船(チャアチュエン)

茶壺をのせて湯を上からかけて温めたり、溢れた湯をこぼしたりするときに使う受け皿のようなもの。同様の使い方をするものに、茶盤(チャアバン)もあります。

⑥中国茶の淹れ方

中国茶を美味しく淹れるためには、お湯の温度がカギとなります。

独特の作法や茶器あり、「中国茶を淹れるのは難しそう」と感じている人もいるかもしれませんが、淹れ方は意外と簡単なのです。蓋碗や茶壺などの中国茶器があれば楽しみは更に広がるかもしれませんが、道具がない場合は家庭にあるティーポットやサーバーやグラスでもOKです!お茶の種類によって適温は異なりますが、沸騰の状態を含め、厚めのお茶を使うのがポイントになります。1回の茶葉で5〜6煎楽しめるのも中国茶の魅力です。

■淹れ方のポイントを押さえましょう

美味しく淹れるためのポイントは3つです。

中でも重要なのはお湯の温度。日本茶と違ってぬるま湯は使わず高温のお湯で淹れます。

・抽出時間

蒸らし時間は一、ニ煎目は1分程度が目安。三煎目からは徐々に浸出時間を長くしていくのがコツです。

・湯の温度

緑茶・白茶・黄茶は沸騰後ひと呼吸おいた85℃〜95℃、青茶・紅茶・黒茶は約100℃の沸騰した熱々のお湯を使って淹れましょう

・茶葉の量

茶壺や蓋碗に入れる場合、固くしまった小さめの茶葉ならそこ面が埋まる程度、ふわふわとカサの高い大きめの茶葉なら器の1/2〜1/3が埋まるくらいが目安です。

『茶壺と蓋碗での淹れ方』

■茶壺で淹れる

素焼きの小ぶりな茶壺を使って青茶(鉄観音)を淹れる工程を説明致します。茶壺の上から湯をかけて保温性を高め、熱さをキープするのが美味しく淹れるコツです。

①温める

茶壺にお湯を入れて温める。茶壺を温めた後、お湯を茶海と杯組(聞香杯と品茗杯)に移して温める。

②茶葉を入れる

茶壺に適切な量の茶葉を淹れ、沸騰したお湯を少々あふれる程度に勢いよく茶壺いっぱいに注ぎ入れて蓋をする。

③蒸らす

蓋をした茶壺の上から湯をかけて蒸らす。湯をかけることにより、保温性がいます。茶海を温めておいたお湯を捨てる。

④注ぎ入れる

適切な時間が経過したら茶壺の茶水を茶海に注ぎきる。杯組を温めていたお湯を捨てる。

⑤出来上がり

茶海からまず聞香杯に注ぎ、次にその茶水を品茗杯に移す。空になった聞香杯を鼻先に持っていって器に残った香りを楽しみその後お茶を味わいましょう。

■蓋碗で淹れる

陶磁器の蓋碗を使って緑茶(龍井)を淹れる工程を説明致します。一度お湯を茶海に入れて温度を適温に調節するのがポイント。蓋碗の蓋は香りを楽しむのにも使いましょう。

①茶葉を入れる

蓋碗に適切な量の茶葉を入れる。

②熱湯を入れる

湯冷しするために、沸騰したお湯を一旦茶海に注ぎ入れ、そのお湯を茶葉の入った蓋碗にふちからゆっくり注ぐ。湯量は蓋碗の7分目程度。

③蒸らす

茶葉が浮く場合は蓋のふちで静かにをして沈める。蒸している間に、茶海と飲杯にお湯を注ぎ温める。茶海のお湯は捨てておく。

④注ぎ入れる

適切な時間が経過したら蓋碗の蓋をわずかにずらして隙間を作り、上から蓋を抑えるようにして蓋碗を傾け、中の茶水を茶海に注ぎきる。

⑤出来上がり

茶杯を温めていたお湯を捨て、茶海から各茶杯に注ぎ分ける。蓋碗の蓋でお茶の香りを楽しみ、飲杯でお茶を味わう。

この他の淹れ方は、また別の記事でお伝えいたします。

⑦お茶の保存方法

お茶は温度、湿度、酸素、光の影響を受け劣化していきます。匂いを吸収しやすいのもお茶の特徴です。これらの影響を受けにくいように、必ず密閉できる不透明の容器、錫(すず)や磁気の茶罐(ちゃかん)に入れて冷暗所にしまい、なるべく早く飲みきりましょう。直射日光に当たるような場所や高温になる場所は厳禁です。

福茶からメッセージ

中国茶の世界は難しい事を考えずに先ずは飲んで楽しむ!事が一番です。

極上の芳香とともに『自分時間』のくつろぎのひと時を過ごしたり、ティーパーティーで楽しい時間を過ごしたり、美と健康の中国茶を、自由に楽しんで下さい。

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